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なぜ月を研究するの?
月を研究する理由はいくつか存在します.例えば,月を調べることで,太陽系の歴史を解き明かせるかもしれません.実は,月は地球のようなプレートテクトニクス(地殻運動)がありません(動画1).地球は,残念ながら,プレートが地球深部へ沈み込むことで古いプレート(古い情報)は存在しませんが,月はプレートが動いてない為,月が誕生してからの古い(約45億年前の)プレートが残っているのです.つまり,月は太陽系の歴史を記録ている天体である為,太陽系の歴史を解き明かせる可能性を秘めています.
ここからは,これまでに明らかとなっている現在までの太陽系と月の歴史を簡単に説明していきましょう. |
動画1 プレートテクトニクス
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46〜45億年前
宇宙には分子雲と呼ばれる水素などのガスが豊富な領域があり,その中で核融合反応が起こると,恒星(太陽)が誕生します.太陽は約46億年前に誕生しました.太陽が誕生すると,そのまわりにはガス円盤が形成されます(図2.1).このガス円盤には,ガス以外にも微粒子が含まれ,それが衝突合体することで原始的な天体へと成長・進化していきます.
原始的な天体が比較的大きい時,まわりに多くのガスが残っていると,天体はガスを重力的に引き込み,巨大ガス惑星を形成します.一方で,天体が比較的小さく形成されると,天体の重力が弱いため,たとえまわりにガスが残っていたとしても,重力で引き込めず,巨大なガス惑星には成長せず,地球のような大気の薄い岩石惑星が形成します.このような過程を踏まえて,地球が誕生しました. |
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42〜38億年前
月を見上げると,兎の模様が見えます(図1).この兎の模様は,まわりよりも標高が低いところで,地形的に盆地となっています.この模様は,約42〜38億年前の間に,巨大な小惑星や彗星が月面に衝突したことで形成しています.
月でそのような巨大衝突があったならば,地球でも起こっていたでしょう.この小惑星や彗星が大量に天体へ衝突するイベントを後期重爆撃期(LHB期)と呼びます(動画2).近年の研究では,LHBは,太陽系の惑星の大きく移動する時に発生することがわかっています. |
動画2 月の進化の過程 [NASA]
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